1990年にアメリカでII STEP会議が開催されて以来世界の小児理学療法は,運動制御(motor control)モデルや家族中心アプローチモデルの流れで,子どもの主体的な参加に基づく自発的な活動を重視し,子どもとご家族が主体となるようなサービスに変化してきています.近年若い小児理学療法士の皆さんの活躍により,日本でも世界の流れに近づく動きが見られますが,まだまだセラピスト中心のサービス提供が主流であるのではないかと考えています.
今回の学会は,日本の小児理学療法サービスが,より子どもとご家族が主体的に問題解決できるようにサービス提供し,子どもとご家族が重要だと考える活動/参加を支援できるサービスになる分岐点となる学会になることが目標です.
子どもとご家族が自分たちに提供されるサービスに主体的に関わり中心となって頂くために,今学会では市民公開講座(Zoom配信)の中で,子どもとご家族に家族中心アプローチやF-wordsについてお伝えします.また,子どもとご家族の問題解決能力向上を支援するために必要なコーチングや参考になるCO-OPアプローチ,子どもとご家族の生活を知るためのF-wordsやADOC-SやPEDIの活用方法,子どもとご家族と協業して目標設定するためのCOPMやGASの使用方法について一緒に学びたいと考えます.加えて,子どもの生活の場を知りより良く連携していくために,保育所,幼稚園,児童発達支援センター,学校,放課後デイサービスでの子どもの生活を知り,どのように連携できるかについても皆さんと一緒に考えていきたいと思っています.その他,自閉症スペクトラム症(ASD)の特性を持つ子どもたちへのサービス提供時のヒントも提供したいと考えています.
子どもがやりたい具体的な活動ができるように,子どもと一緒に考えてスモールステップで支援できれば,子どもを褒める機会が増えてセラピー場面が楽しくなります.また,子どもとご家族が重要であると考える具体的な活動/参加ができるように,周りの大人(専門家)等が一緒になって取り組むことも,とても楽しい経験になります.今回の学会を通して,皆様のサービスがより楽しくなる一助になればと考えています.皆で一緒に考えて自由に意見交換できる学会になるように皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます.